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ボディビルダーのための食事 101

ジムに通い始めて、「次のアーノルド・シュワルツェネッガーになるぞ!」と意気込んでいるあなた。筋トレは確かに筋肉をつけるために欠かせない要素ですが、実はそれだけでは十分ではありません。本当に身体を大きくしたいなら、「食事」にも力を入れる必要があります。

ここでは、ボディビルディングにおける基本的な栄養の考え方を紹介します。筋トレと筋肉の成長をサポートするために必要な三大栄養素(たんぱく質・炭水化物・脂質)と、それぞれどれくらい摂取すべきかを解説します。さらに、大会前の減量期の食事、ミクロ栄養素(ビタミン・ミネラル)についても触れていきます。

なお、ここで紹介する栄養の原則は、ハードコアなボディビルダーだけでなく、すべてのトレーニーに役立つものです。フィットネス初心者の方も、ぜひ参考にしてください!

ボディビルディングにおけるマクロ栄養素の摂取量

ボディビル向けの食事プランを立てる際、最も重要なのが「マクロ栄養素」のバランスです。これは、たんぱく質・炭水化物・脂質の1日の摂取量の割合を指します。一般的なボディビルダーは、筋肉をつけるために高たんぱく・中程度の脂質・十分な炭水化物の摂取を目指します(Iraki J, 2019)。

では、実際どのくらい摂ればいいのでしょうか?

  • たんぱく質:体重1kgあたり1.63.1g
  • 炭水化物:体重1kgあたり35g
  • 脂質:体重1kgあたり0.51.5g

例えば、体重80kgの人の場合:

  • たんぱく質:128~248g
  • 炭水化物:240~400g
  • 脂質:40~120g

このように、かなり幅があります。どの範囲を目指すべきかは、自分の「目標」によって決まります。

栄養

まず「筋肉を増やしたいのか」「脂肪を減らしたいのか」を決めましょう。オンラインのカロリー計算ツールを使って、目標に必要なカロリー量を推定し、それに合ったマクロバランスを設定します。食事管理アプリ(例:MyFitnessPal)を活用して、毎日のマクロ摂取量をチェックするのもおすすめです。また、体重も定期的に測定しましょう。

筋肉を増やす場合は、炭水化物と脂質をやや多めに摂り、カロリーを「やや余剰」にします。脂肪を減らしたい場合は、炭水化物と脂質を控えめにし、「やや不足」状態を作ります。

特に重要なのはたんぱく質。減量中はやや多めにしてもいいですが、基本的には体重1kgあたり1.6~2gで十分です。腸にも優しいので、無理に摂りすぎない方が良いでしょう。

サプリメント

その他、考慮すべきポイント

ボディビル向けの食事の基本はシンプルですが、さらに深掘りすると以下のような点も重要です

コンテスト用の食事

もし大会出場を目指すなら、コンテスト前の「減量期」では食事内容が大きく変わります。たんぱく質摂取量を増やし、カロリーを大幅に制限するのが一般的です(Helms ER, 2014)。

大会に出る予定がないなら、極端な減量は不要。健康的な体脂肪率を維持しつつ、目標(筋肉増量 or 脂肪減少)に応じて、軽いカロリー余剰または不足を作るだけで十分です。

食事回数

理想的には、1日のマクロ摂取量を3~6回に分けて食べるのがベストです(Helms ER, 2014)。1日を通して小分けに食事をすることで、無理なく栄養目標を達成しやすくなります。夜中に無理やりプロテインシェイクを流し込む必要はありません!

サプリメント

カフェイン、クレアチン、ベータアラニンなど、一部のサプリメントは効果が実証されています(Chappell AJ, 2018)。ただし、サプリメントが筋肉を劇的に変えるわけではありません。スパイダーマンのようになりたいなら、まずは食事とトレーニングに集中しましょう。

ミクロ栄養素の摂取

マクロ栄養素だけでなく、ミクロ栄養素(ビタミン・ミネラル)も非常に大切です。栄養価の高い食品をバランスよく摂取し、ビタミン・ミネラル不足を防ぎましょう。ボディビルダーは特定の栄養素が不足しがちなので(Helms ER, 2014)、子供のころから言われた「野菜を食べなさい」を忘れずに!

ステロイドについて

最後に、ボディビルディングの「裏側」にも触れておきましょう。実際、プロのボディビルダーのほとんどが筋肉増強剤(アナボリックステロイド)を使用しています。しかし、これは深刻な健康リスクを伴います(Chappell AJ, 2018)。健康第一を心がけ、パフォーマンス向上薬には手を出さないようにしましょう。

まとめ

かっこいい身体を作りたいなら、正しい食事の知識は欠かせません。トレーニング技術も重要ですが、昔から言われている「デカくなりたきゃ食え!」は本当です。

初心者のうちは、たんぱく質をしっかり摂りつつ、炭水化物と脂質もバランスよく摂ることを意識しましょう。それだけでも、ハードなトレーニングと組み合わせれば十分に成果が出ます。さらに進めば、栄養タイミングやサプリメント活用、大会用の食事管理にも挑戦できるでしょう。

このガイドが、ボディビルにおける栄養の基礎を理解する一助になれば幸いです。コツコツ継続して、理想の身体を手に入れましょう!

< Recommendation by Our Experts>

  • バランスを意識して食べよう: 筋肉を増やすためには、たんぱく質だけでなく、適切な割合の炭水化物と脂質も重要です。目標に応じてマクロ栄養素の摂取量を調整し、バランスの取れた食事を心がけましょう。

  • 長期的な視点で取り組む: 即効性を求めず、コツコツと続けることが大切です。日々の食事やトレーニングを積み重ね、少しずつ理想の身体を目指していきましょう。

  • 無理は禁物、健康を第一に: ステロイドなどの不健康な方法に頼らず、自分の体と相談しながら健康的に体を作っていきましょう。健康を損なうことなく、自然な方法で体づくりを楽しんでください。

< Reference >

  • Iraki J, Fitschen P, Espinar S, Helms E. Nutrition Recommendations for Bodybuilders in the Off-Season: A Narrative Review. Sports. 2019;7(7):154. doi:3390/sports7070154
  • Helms ER, Aragon AA, Fitschen PJ. Evidence-based recommendations for natural bodybuilding contest preparation: nutrition and supplementation. Journal of the International Society of Sports Nutrition. 2014;11(1):20. doi:1186/1550-2783-11-20
  • Chappell AJ, Simper T, Barker ME. Nutritional strategies of high level natural bodybuilders during competition preparation. Journal of the International Society of Sports Nutrition. 2018;15(1):4. doi:1186/s12970-018-0209-z
  • Gentil P, Barbosa De Lira CA, Paoli A, et al. Nutrition, pharmacological and training strategies adopted by six bodybuilders: case report and critical review. Eur J Transl Myol. 2017;27(1). doi:4081/ejtm.2017.6247
  • Ismaeel A, Weems S, Willoughby DS. A Comparison of the Nutrient Intakes of Macronutrient-Based Dieting and Strict Dieting Bodybuilders. International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism. 2018;28(5):502-508. doi:1123/ijsnem.2017-0323