Physio Academia:
Evidence-Based Article
グルテンフリーダイエットはアスリートに必要か?
〜誰に有効で、どんなリスクがあるのか〜
グルテンフリーダイエット(以下GF)は、欧米ではすっかり定着し、日本でも
「なんとなく体に良さそう」「痩せそう」というイメージで広がっています。
しかし本来、GF は
「痩せるためのダイエット」ではなく、「病気の治療のための食事療法」
として生まれたものです。
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セリアック病
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小麦アレルギー
-
非セリアックグルテン過敏症(NCGS)
など、「グルテンに対して医学的な問題がある人」にとっては必須の食事療法ですが、
健康な一般人やアスリートにとっても本当に必要なのでしょうか?
この記事では、
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グルテンフリーダイエットが医学的に必須なケース
-
一般人・アスリートが行うメリットとリスク
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現場でどう判断・アドバイスすべきか
を整理していきます。
1. グルテンフリーダイエットとは?
グルテンとは?
グルテンは、
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小麦
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大麦
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ライ麦
などに含まれる タンパク質 の一種で、パンや麺の「モチッとした食感」を作る成分です。
GF とは、
これらグルテンを含む食品を徹底的に避ける食事療法
であり、もともとは セリアック病患者の治療食 として確立されました。
セリアック病・小麦アレルギー・非セリアックグルテン過敏症
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セリアック病
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グルテン摂取により小腸粘膜がダメージを受ける自己免疫疾患
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下痢、腹痛、吸収障害、体重減少、貧血、倦怠感など
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治療の基本は 生涯にわたる厳格なグルテン除去
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小麦アレルギー
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免疫学的アレルギー反応(蕁麻疹、喘息、アナフィラキシーなど)
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小麦を含む食品の回避が必須
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非セリアックグルテン過敏症(NCGS)
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セリアック病・小麦アレルギーではないが、グルテン摂取で
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腹部膨満
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腹痛、下痢/便秘
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疲労感、頭痛、関節痛
などが悪化するケース
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診断基準はまだ議論中で、エビデンスは発展途上
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これらの患者では、GF によって
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消化器症状の改善
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炎症マーカーの低下
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QOL(生活の質)の向上
が明確に報告されており、医学的に「必須」な治療 と言えます。
2. グルテンフリーダイエットのメリット
(症状をもつ人・一部のアスリートの場合)
GF は、以下のようなケースで特に意味をもちます。
1) セリアック病・小麦アレルギー・NCGS
すでに述べた通り、これらの人にとって GF は
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下痢・腹痛・膨満感などの 強い消化器症状の軽減
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腸の炎症の改善と、栄養吸収の改善
-
体調・集中力・気分(うつ症状様の訴え)の改善
などにつながる、第一選択の治療食 です。
2) IBS様症状をもつアスリート
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マラソンなどの高強度・長時間の持久運動では、
多くのアスリートが-
下痢
-
腹部膨満感
-
排便衝動
など IBS に似た症状を訴えます。
-
-
こうしたアスリートの一部は、GF を含む食事調整により
「症状が減った」「レース中にトイレに駆け込まなくてよくなった」
と主観的な改善を報告しています。
ただしポイントは、
「GF そのもの」よりも
「加工食品・ジャンクフードが減った/食事全体が整った」
ことの影響も大きい可能性
があるということです。
3. グルテンフリーダイエットのデメリット・注意点
GF は「やればやるほど健康」ではありません。
特に 自己判断でなんとなく始める場合、以下のリスクがあります。
3-1. 栄養バランスの乱れ
グルテンを含む主な食品は、
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パン
-
パスタ
-
麺類
-
クッキー・ケーキ・スナックなどの多くの加工食品
です。
知識のないまま GF を始めると、
-
「食べられるものがない」と感じて食生活が単調に
-
炭水化物・食物繊維の不足
-
葉酸・ビタミンB群・亜鉛など微量栄養素の不足
につながる可能性があります。
3-2. 「グルテンフリー加工食品」にも落とし穴
GF 製品の中には、
-
高糖質・高脂質
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食物繊維が少ない
-
かなり精製度の高い加工食品
も多く存在します。
「グルテンフリー=ヘルシー」「グルテンフリー=痩せる」
ではありません。
むしろ、GF スイーツやスナックを多用すると
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総摂取カロリー増
-
体重増加
-
血糖コントロールの悪化
につながり、健康目的や減量目的には 逆効果 になり得ます。
3-3. 医学的評価が遅れるリスク
症状があるのに自己判断で GF を始めてしまうと、
-
セリアック病の血液検査・生検結果がマスクされる
-
正確な診断がつきにくくなる
といった問題もあります。
4. アスリートとグルテンフリーダイエット
4-1. 持久系アスリートの GI トラブル
マラソンやトライアスロンなど、持久系アスリートでは
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38〜50%以上がレース中・トレーニング中の GI 症状を経験すると言われています。
こうした症状は、
-
物理的ストレス(振動・血流シフト)
-
精神的ストレス
-
補給の仕方(糖質の種類・濃度・タイミング)
など、多くの要因が絡み合って起こります。
そのため、
「グルテンを抜いたから GI 症状が良くなった」
=「グルテンそのものが主犯」
と単純には言い切れません。
4-2. 現時点のエビデンスのニュアンス
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セリアック病・NCGS・IBS を持つアスリート
→ GF によって 症状改善 → パフォーマンスへの間接的なプラス は十分あり得る -
診断のない健康なアスリート
→ 「GF によってパフォーマンスが明確に向上する」と言える強いエビデンスは、現時点では乏しい
一方で、
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加工食品が減る
-
食事全体の質が上がる
-
GI症状が軽くなる
といった 間接効果 によって、「調子が良い」と感じるケースはあります。
5. 現場での使い方:Physio Academia 的ガイドライン
ステップ 1:まずは医師・栄養士と連携
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明らかな GI 症状(慢性的な下痢・腹痛・体重減少など)がある場合
→ GF を始める前に 医師へ。-
セリアック病
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小麦アレルギー
-
IBS その他
の鑑別が重要です。
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ステップ 2:診断結果に応じた対応
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セリアック病 / 小麦アレルギー / 明らかな NCGS
→ 厳格な GF は必須。-
栄養士と連携し、栄養バランス・エネルギー不足に注意
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明らかな疾患は否定されているが、
「グルテンを食べると何となく調子が悪い」というケース
→ 2〜4週間の 試験的 GF + 食事・症状・パフォーマンスの記録-
それでも変化が乏しければ、無理に GF を継続する必要はない
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ステップ 3:健康なアスリートへの現実的な提案
診断のないアスリートに対しては、
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いきなり「完全GF」ではなく、まずは
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白い小麦製品(菓子パン・クッキー・ケーキ・ジャンクフード)を減らす
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食事全体を「未精製・高繊維・高タンパク」寄りにシフトする
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必要なら、
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レース前だけ小麦の量を減らし、消化のよい炭水化物(米・芋など)にする
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といった 段階的で実行しやすいアプローチ を勧める方が、安全で現実的です。
まとめ
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グルテンフリーダイエットは、本来 セリアック病・グルテン関連疾患のための治療食 であり、これらの患者にとっては生活の質を劇的に改善しうる重要な食事療法です。
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健康な一般人やアスリートが自己判断で GF を始める場合、
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栄養不足・食物繊維不足
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加工GF食品の摂り過ぎによる逆効果
-
正確な診断が遅れるリスク
なども考慮する必要があります。
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グルテンを減らすことそれ自体よりも、
「加工食品を減らし、全体の食事の質を上げた」という変化 が、
体調やパフォーマンスの改善につながっているケースも少なくありません。
重要なのは、
「流行だからやる」のではなく、
症状・競技特性・栄養バランス を踏まえた上で、
自分(あるいは自分のクライアント)に本当に必要かどうかを考えること
です。
< 要点:Key Takeaways >
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医学的に必要な人には必須、健康な人には“要検討”の食事療法
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セリアック病・小麦アレルギー・明らかなグルテン過敏症には、GF は第一選択。
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それ以外の人は、「なんとなく流行だから」ではなく、症状・目的・栄養バランスを踏まえて慎重に。
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始める前に医師・栄養士への相談を
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自己判断でGFを始めると、正確な診断が難しくなったり、栄養不足を招くリスクがあります。症状がある場合は、まず専門家へ。
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グルテン“フリー”よりも、まずは「グルテンを含む加工食品を減らす」から
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パン・お菓子・ジャンクフードを減らし、米・芋・野菜・果物・良質なたんぱく源に置き換えるだけでも、体調やパフォーマンスが改善するケースは多くあります。
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グルテンフリー加工食品=ヘルシーではない
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GFのクッキーやスイーツ、スナックは高糖質・高脂質なことも多く、減量や健康目的には逆効果になる場合があります。できる限り「自然に近い食品」を中心に選びましょう。
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アスリートには“個別対応”が鍵
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GI症状が強いアスリートでは、診断+試験的GFを含めた個別の食事戦略が有効な場合があります。
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「全員にGFを勧める」よりも、「誰にどの程度の制限が必要か」を見極めることが重要です。
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