前脛骨筋

Tibialis Anterior

前脛骨筋は下腿の前面にある重要な筋肉で、歩行やランニングのような動作において足首の背屈動作(足首を反らすこと)と足部を安定させる役割があります。

前脛骨筋はアスリートにとって、足部の精密なコントロール、身体重心の安定、そして歩行の正しいメカニクスのために極めて重要です。さらにつま先が下がることを防ぎ、無駄のない効率的なストライドに貢献し、シンスプリントなどの怪我のリスクを軽減します。

前脛骨筋の筋力を維持・強化することは慢性障害の予防やアスリートのパフォーマンスを向上するために不可欠です。

前脛骨筋
前脛骨筋

前脛骨筋

Anatomy

[起始]

  • 脛骨外側顆・脛骨外側上部・下腿骨間膜

[停止]

  • 内側楔状骨の内側下部・第一中足骨底

[作用]

  • 足関節の背屈・内反

Clinical Relevance

シンスプリント

前脛骨筋は、歩行時の足首の背屈や足部の安定に不可欠な筋肉ですが、使い過ぎや不適切なケアはシンスプリントの発生につながる可能性があります。シンスプリントは、脛骨の内側下方2/3の痛みと腫れを伴う慢性障害です。

その病態は繰り返し生じる微細な損傷による骨膜と深部筋膜付着部の炎症、腫れ、そして筋肉への血流制限により生じます。シンスプリントは前方コンパートメント症候群の軽症型であり、運動不足な人が急激に運動量を増加した場合(例: 突発的に長距離ウォーキングをする)や、アスリートが十分なウォームアップとクールダウンを怠った場合によく見られます。

症状には局所痛、圧痛、そして腫脹があり運動時に痛みが増強します。早期発見と早期治療(例: 安静、アイシング、バイオメカニクス的な問題を改善すること)は、より重篤な病態への進行を防ぐために重要です。さらに適切な靴選び、段階的な運動量・強度の増加、そして運動療法がシンスプリントの予防と予後のために不可欠で、特に前脛骨筋の予防的なケアの重要性が強調されます。

~ Evidence-Based Exercises ~

EMGを用いた研究によると、前脛骨筋の筋収縮が強く現れたのは以下のトレーニングでした;

 

  • Banded Dorsiflexion
  • Banded Inversion
  • Heel Walk

Banded Dorsiflexion

背屈運動

Banded Inversion

内反運動

Heel Walk

ヒールウォーク

< Reference >

  • Keith L. Moore, Anne M. R. AgurArthur F. Dalley. Moore Clinically Oriented Anatomy 7th Edition, Lippincott Williams & Wilkins, 2013
  • Bhusari N, Deshmukh M. Shin Splint: A Review Article. Cureus. Published online January 18, 2023. doi:7759/cureus.33905
  • Jang TJ, Hwang BH, Jeon IC. Comparison of Tibialis Anterior Muscle Thickness with 4 Different Toe and Ankle Postures: Ultrasonographic Study. J Kor Phys Ther. 2022;34(1):12-17. doi:18857/jkpt.2022.34.1.12