プライオメトリックトレーニングの実施タイミング

Plyometric
Training
Timing

 

筋力トレーニングと分けるべきか?
同じセッションで行うべきか?

 

プライオメトリックトレーニングは、ジャンプ力、スプリント能力、方向転換能力といった爆発的パフォーマンスを高めるために不可欠なトレーニング手法です。しかし現場では、「筋力トレーニングと分けて行うべきか」「同じセッションで行ってもよいのか」「行うなら順番はどうすべきか」といった疑問が頻繁に挙がります。

結論から言えば、プライオメトリックと筋力トレーニングを同一セッション内で組み合わせることは問題なく、むしろ単独実施よりも効果的である可能性が高いことが、複数の研究で示されています。

プライオメトリクス

プライオメトリックと筋力トレーニングは分けるべきか?

近年の研究では、プライオメトリック単独よりも、レジスタンストレーニングと組み合わせた「コンバインドトレーニング」の方が、パフォーマンス向上において優れていることが一貫して報告されています。

Zghalら(2019)は、サッカー選手を対象に、プライオメトリック単独群と筋力+プライオメトリック群を比較した結果、ジャンプ高、スプリント、筋力、トルク発揮速度(RTD)すべてにおいて、コンバインド群の改善が有意に大きかったと報告しています。

同様に、女性バスケットボール選手を対象とした研究では、プライオメトリック単独と比較して、低負荷スクワットとジャンプを組み合わせたコンバインドトレーニングの方が、垂直跳びパフォーマンスをより大きく向上させたことが示されています(Sánchez-Sixto et al., 2021)。

また、思春期のバレーボール選手を対象とした16週間の研究では、筋力+プライオメトリックトレーニングは、プライオメトリック単独よりも筋肥大、筋力、スプリント、ジャンプ、体脂肪減少において優れた効果を示しました(Fathi et al., 2018)。

これらの結果から、時間効率・適応効率の両面において、分ける必然性は低いと考えられます。

なぜ組み合わせると効果が高いのか?

プライオメトリックと筋力トレーニングを組み合わせることで、神経筋制御・力発揮速度・SSC(伸張短縮サイクル)効率が同時に刺激されます。

アイスホッケー選手を対象とした研究では、通常の筋力トレーニングに加えて、セッション冒頭にプライオメトリックを組み込んだ群は、筋力単独群と比較して、10mスケーティングスプリントの改善が有意に大きかったと報告されています(Dæhlin et al., 2017)。

つまり、プライオメトリックは単なる「ジャンプ練習」ではなく、筋力トレーニングの成果を競技動作へ転換する橋渡しとして機能します。

同じセッションで行うなら、順番はどうするべきか?

多くの研究が示しているのは、プライオメトリックはセッションの前半に配置した方が効果が大きいという点です。

Ramirez-Campilloら(2020)は、サッカー練習の「前」にプライオメトリックを行った群と、「後」に行った群を比較しました。その結果、前半に実施した群では、垂直跳び(+11.2%)、立ち幅跳び(+9.4%)、スプリント、方向転換能力すべてにおいて、後半実施群を上回る改善が認められました。

これは、疲労が少ない状態でプライオメトリックを行うことで、神経系への刺激が最大化され、動作の質が保たれるためと考えられます。

ただし「絶対的な正解」ではない

一方で、すべてのケースにおいて厳密な順序が必要とは限らないことも、エビデンスは示しています。

ハンドボール選手を対象とした研究では、筋力→プライオメトリック、プライオメトリック→筋力のどちらの順序でも、全体的なパフォーマンス改善に大きな差はなかったと報告されています(Alkasasbeh et al., 2023)。

また、Alvesら(2018)のレビューでは、最適なトレーニング順序は年齢・目的・競技特性によって異なることが強調されています。例えば、筋力向上を最優先する場合はレジスタンスを先に、有酸素能力を重視する場合は有酸素運動を先に行う方が適している可能性があります。

践的まとめ(Evidence Aide

現在のエビデンスを総合すると、以下の考え方が現実的です。

プライオメトリックトレーニングは、筋力トレーニングと同一セッション内で組み合わせて問題なく、むしろ効果的であることが多い(Zghal et al., 2019; Sánchez-Sixto et al., 2021)。
実施順序としては、疲労の少ないセッション前半にプライオメトリックを配置することで、パフォーマンス向上効果が最大化されやすい(Ramirez-Campillo et al., 2020)。
ただし、トレーニングの最適な順序は個々の目的・競技・発育段階によって調整すべきであり、柔軟な設計が求められる(Alkasasbeh et al., 2023; Alves et al., 2018)。

プライオメトリクス

< Reference >

  • Fathi, Abed, Raouf Hammami, Jason Moran, Rihab Borji, Sonia Sahli, and Haithem Rebai. “Effect of a 16-Week Combined Strength and Plyometric Training Program Followed by a Detraining Period on Athletic Performance in Pubertal Volleyball Players.” Journal of Strength and Conditioning Research 33, no. 8 (2019): 2117–27. https://doi.org/10.1519/JSC.0000000000002461.
  • Dæhlin, Torstein E., Ole C. Haugen, Simen Haugerud, Ivana Hollan, Truls Raastad, and Bent R. Rønnestad. “Improvement of Ice Hockey Players’ On-Ice Sprint With Combined Plyometric and Strength Training.” International Journal of Sports Physiology and Performance 12, no. 7 (2017): 893–900. https://doi.org/10.1123/ijspp.2016-0262.
  • Zghal, Firas, Serge S. Colson, Grégory Blain, David G. Behm, Urs Granacher, and Anis Chaouachi. “Combined Resistance and Plyometric Training Is More Effective Than Plyometric Training Alone for Improving Physical Fitness of Pubertal Soccer Players.” Frontiers in Physiology 10 (August 2019): 1026. https://doi.org/10.3389/fphys.2019.01026.
  • Sánchez-Sixto, Alberto, Andrew Harrison, and Pablo Floría. “Effects of Plyometric vs. Combined Plyometric Training on Vertical Jump Biomechanics in Female Basketball Players.” Journal of Human Kinetics 77 (January 2021): 25–35. https://doi.org/10.2478/hukin-2021-0009.
  • Ramirez-Campillo, Rodrigo, Cristian Alvarez, Paulo Gentil, et al. “Sequencing Effects of Plyometric Training Applied Before or After Regular Soccer Training on Measures of Physical Fitness in Young Players.” Journal of Strength and Conditioning Research 34, no. 7 (2020): 1959–66. https://doi.org/10.1519/JSC.0000000000002525.
  • Alkasasbeh, Walaa Jumah. “Evaluation of Plyometric Exercise, Strength Training on Physical Capabilities.” International Journal of Human Movement and Sports Sciences 11, no. 1 (2023): 37–43. https://doi.org/10.13189/saj.2023.110105.
  • Alves, Ana R., Carlos Marta, Henrique P. Neiva, Mikel Izquierdo, and Mário C. Marques. “Concurrent Training in Prepubertal Children: An Update.” Journal of Human Sport and Exercise 13, no. 3 (2018). https://doi.org/10.14198/jhse.2018.133.18.