棘下筋

Infraspinatus

棘下筋は肩甲骨の後部にあるローテーターカフ(回旋腱板)を構成する四つの筋肉の一つです。棘下筋は肩の外旋動作やダイナミックな動きにおける肩の安定を補助することで、肩関節の安定性と可動性に重要な役割を果たします。投球、水泳、重量挙げのようなオーバーヘッド動作や肩を繰り返し動かすアスリートにとって、肩の強さと柔軟性を維持するために棘下筋は極めて重要です。

棘下筋の適切なコンディショニングとケアは、パフォーマンスを向上させ、ケガのリスクを軽減し、肩の機能全般を高めることができるため、様々な種目のアスリートにとっての基礎的な要素です。

ピッチャー2
棘下筋

棘下筋

Anatomy

[起始]

  • 肩甲骨の棘下窩

[停止]

  • 上腕骨の大結節中部

[作用]

  • 肩関節の外旋運動
  • ローテーターカフとして肩の安定化

Clinical Relevance

棘下筋は肩関節の安定性と外旋動作に関与するため、オーバーヘッドスポーツのアスリートにとって臨床的に重要です。

野球、テニス、水泳、そしてバレーボールのようなスポーツで求められる反復性のオーバーヘッドモーションは棘下筋を含むローテーターカフに大きなストレスを与えます。これは、腱障害のような慢性障害あるいは筋の断裂を招く可能性があり、オーバーヘッドスポーツのアスリートにとって珍しくない問題です。

棘下筋の筋力低下や機能不全は肩のメカニクスの乱れ、投球速度の低下、そしてオーバーヘッドモーション時の痛みを引き起こす可能性があります。さらに、ローテーターカフによるインピンジメント症候群や肩関節後方のタイトネスのような症状に関与していることがしばしば見受けられます。

棘下筋の筋力と機能を評価することは、オーバーヘッドスポーツのアスリートの肩傷害予防やリハビリテーションのために重要であり、彼らのベストなパフォーマンスを保ち、長期的な肩のダメージを予防することに繋がります。

~ Evidence-Based Exercises ~

EMGを用いた研究によると、棘下筋の筋収縮が強く現れたのは以下のトレーニングでした;

 

  • Prone Shoulder External Rotation
  • Standing Shoulder External Rotation
  • Standing YTWL Tube Exercises

Prone Shoulder ER

Prone Shoulder ER

Standing Shoulder ER

Standing Shoulder ER

Standing YTWL Tube Exercises

Standing Cable Shoulder Exercises

< Reference >

  • Keith L. Moore, Anne M. R. AgurArthur F. Dalley. Moore Clinically Oriented Anatomy 7th Edition, Lippincott Williams & Wilkins, 2013
  • Ellenbecker TS, Dines DM, Renstrom PA, Windler GS. Visual Observation of Apparent Infraspinatus Muscle Atrophy in Male Professional Tennis Players. Orthopaedic Journal of Sports Medicine. 2020;8(10):2325967120958834. doi:1177/2325967120958834
  • Kim TG, Ma R, Yu IY. A study of effective exercise methods and resistance intensity for selective strengthening of the infraspinatus muscle. Journal of Back and Musculoskeletal Rehabilitation. Published online January 9, 2025:10538127241298546. doi:1177/10538127241298546
  • Reinold MM, Wilk KE, Fleisig GS, et al. Electromyographic Analysis of the Rotator Cuff and Deltoid Musculature During Common Shoulder External Rotation Exercises. J Orthop Sports Phys Ther. 2004;34(7):385-394. doi:2519/jospt.2004.34.7.385