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“科学的根拠に基づいた”お腹周りの脂肪を落とす方法

お腹周り

< Key Points >

  • お腹周りの脂肪を落とすことは、見た目のためだけでなく、心臓血管系の疾患や糖尿病の予防としても効果的。
  • 局所的に脂肪を落とす方法は存在しないが、体全体の脂肪を燃焼させるのに、高強度インターバルトレーニング(HIIT)やスプリントインターバルトレーニング(SIT)などのエクササイズが効果的。
  • 多面的なアプローチ:運動は重要だが、それと同等もしくはそれ以上に、食事と睡眠の管理は重要!

久しぶりに履いたズボンが少しきつい。こんな経験はありませんでしょうか?

鏡を見てスッと息を吸い、姿勢を正してお腹を引っ込めてみる。でも苦しくなって長くは続かないので、ふぅと息を吐いてリラックスすると、ズボンの上にいわゆるマフィントップができている……。

お腹周りの脂肪は、多くの方が経験する一般的な悩みですが、なぜこの部分の脂肪を減らすのが難しいとされるのでしょうか?確実にお腹周りを削ぎ落とすには、どうしたらいいのでしょうか?

そもそも腹部の脂肪を減らすことは、見た目が良くなるだけではなく、病気の予防にも効果があると多くの研究で実証されています。整形外科的にも腹部の過剰な脂肪組織は腰痛の原因になるとも言われ、脂肪減少には多面的なメリットが多いことが安易に理解できるかと思います。インターネット上では脂肪燃焼の広告は絶え間なく溢れ、サプリメントや厳選的な食事療法など様々な方法が紹介されていますが、実際にはどの方法が一番効果的なのでしょうか。

この記事では、多面的にどんな方法が最も効果的か、論文研究結果を根拠として紹介していきます。

なぜ腹部の脂肪は燃えにくいのか?

腹部の脂肪には内臓脂肪皮下脂肪の2種類があります。

Harvard Healthによると、内臓脂肪は心血管系疾患、糖尿病、代謝異常などのリスクを高める可能性があるとされています。しかし、年齢を重ねるごとに代謝量は減っていき、脂肪燃焼は難しくなっていきます。遺伝、年齢、そして生活スタイルにより脂肪の蓄積やそのしつこさは影響されます。さらに腹部の脂肪はその脂肪細胞を保つためのホルモンを分泌するため、体重減少を妨げることにもつながります。様々な要因が重なって、腹部の脂肪はしつこく燃やしにくい部位となっているのがお分かりいただけるでしょうか。

お腹周り

腹部の脂肪に効果的なエクササイズ

単刀直入に、特定のエクササイズをするだけで、腹部の脂肪のみを燃やすことは不可能だということだけはご理解いただきたいです。が、運動するということが脂肪燃焼において大きな役割を果たすのは誰もがわかっていることでしょう。

ではどのようなエクササイズ方法が科学的に実証されているのでしょうか?

    HIIT

    高強度インターバルトレーニング(HIIT): 

    ジャーナル Sports Medicine の研究ではHIITは体脂肪率を減少させるのに効果的であると報告されています。HIITは、負荷の高いエクササイズを短時間で行い、間に短い休憩もしくは負荷の低いエクササイズで回復をする方法です。この研究では、バイクよりもランニングを用いたHIITの方が効果が高いという結果が出ています。

    SIT

    スプリントインターバルトレーニング(SIT):

    SITはHIITの方法の一つで、スプリントとジョギングを交互に行うトレーニングです。

    Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism で報告された研究では、女性を対象に6週間に及ぶSITトレーニングを行い、体脂肪率が8%減少しウエストは3.5%減少したと報告されています。非現実的な効果を期待したダイエットや、不健康な方法で体重減少を狙った流行りのダイエット法のことをファドダイエット(Fad diet)とアメリカで表現されますが、そのような根拠のない方法を当てにするよりは、確実に痩せられる方法を試していく方が効果的でしょう。

    包括的な脂肪減少プラン

    脂肪減少には運動だけではなくその他の様々な面からアプローチしていくのが最も効果的であり、成功率を高めます。
    運動はもちろん食事、そして睡眠はとても大きな役割を担います。

    Sleep Medicine の研究では睡眠不足による内臓脂肪の増加が大きく関連していると報告されています。Annals of Internal Medicine の報告では不十分な睡眠時間が脂肪燃焼の効果を減少させることがわかっています。

     

    食事法については、高タンパクに集中するのが効果的であるとされています。多くの研究でタンパク質の高い食事の方が脂肪燃焼の増加を促すと報告されています。

    Journal of Obesity and Metabolic Syndrome の研究では、実際に1日のタンパク質の食事摂取基準値よりも多くタンパク質を摂取した方が、筋肉量を維持したまま体重と体脂肪率が減ったと報告があります。タンパク質を選ぶ際には脂質の低いものが推奨されています。

    • ターキー(七面鳥)
    • 脂身の少ない部位の牛肉(モモ、ヒレ肉など)
    • 鶏肉(皮なし)
    • 卵の白身
    • 低脂質コッテージチーズ
    • 豆類

    タンパク質摂取目安量は年齢、活動量、身長体重により異なります。

      タンパク質摂取量

      結論

      お腹周りの脂肪を落とすことは、ただ単に水着をカッコよく着こなすことよりも、あなたの体と健康について大きな意味を持ちます。心血管、循環器系の疾患、生活習慣病予防に繋がり、さらに腰痛予防など全体的な健康をもたらします。

      何か一つだけでなく、運動、食事、そして睡眠の多面的なアプローチを行うことが、最も効果的であることはすでに明白でしょう。運動においてはHIIT、それと合わせて高タンパクの食事を中心に摂取し、また質の高い睡眠を行うことが成功の鍵と言えます。流行りのダイエットに流されるのではなく、科学的に実証されている方法で現実的な目標達成につながるよう継続していくことが最も大切だと言えるでしょう。

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